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眩暈が襲う午後
西陽に瞳が奪われたら
じゅくじゅくと痛む右手で追い払う
積み上げた領収書が滲みながら責めてくる
冷静さなどアイロンで焦がしてしまったし
散らかした糸枷を
グラデーションに並べ直すぐらいにしか
魔法は残っていない

閃光を撃ち込まれてひっくり返ったっきり
蜜になってしまった
がんばっているけれど わたし
あたりまえじゃないけれど わたし
張り倒してしまいたい
ちからもないけれど

助走をつけて飛ぶ
急降下の先迎えに来る上昇気流で
めくるめく虚脱を放つなら
仮縫いにでもして
きのうもきょうもきもちいいことをして
夏には生まれ変われ
新しい細胞の匂いから精鋭をあつめて
うなだれた深傷を励まして繕え

*

投稿者

東京都

コメント

  1. 最後の命令形がカッコよかったです、たちばなまこと然としていて。

  2. 1連の領収書等の現実感と、2連の本音の声から、とくに伝わります。

  3. timoさん
    嬉しいコメント!ありがとうございます。

    服部さん
    ありがとうございます。目の付け所がやっぱり違うなあ、と感動しました。

  4. 2連目、ぐっときました。
    がんばっているけれど わたし/あたりまえじゃないけれど わたし
    それから、最終連の2行も、ぐっときました。
    新しい細胞の匂いから清悦をあつめて/うなだれた深傷を励まして繕え

  5. 長谷川さん
    いつも誠実に読んでくださりありがとうございます。励みになります。
    ぐっとくるって、嬉しいことばですね。

  6. わーわーわー
    「めくるめく虚脱を放つなら」が!
    こんなにお洒落な詩しらない

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