ゴースト

(今日の日付をつぶやく)
灯台の未来
石段の螺旋をおりていく
水平線はかすかに騒めき湾曲している唇だ

防波堤を渡り
砂浜へと呼吸を滑らせる
ヨットの帆は風に膨らみ
反転した星のようにかすかに傾斜している

砂浜は、かわきをくりかえす波に
底の無い分裂をする放射で
重くからだを支える歌声を
かすかな引力で反っている

幽かに在る意識が
三角波で経過してゆく残像融合するだろう
わたしという空間の可能性
空ろなる現に咲く
大海の波の花

投稿者

コメント

  1. 波に、人の性をなぞらえている。そんなふうに読みました。ゴーストという題名にとまどいましたが、最終連の「意識」という表現に被ってくるのでしょうね。

  2. 長谷川さんへ うむ、波に人の性(さが(?))をというのは、作者には気付かない読みでした。そういう意味でも貴重なご感想です。
    はい、ゴーストという言葉には、いろいろな意味があると広辞苑が教えてくれます。まあ、この詩では、一つに長谷川さんのおっしゃる通りで、幽かに在る意識、ということでゴーストなんですね。でも、何をもってゴーストなのか。
    ネタばらしをしますが、この詩は16年ほど前に書きました。今も感覚を頼りにしていますが、この頃の私は今よりももっと感覚を頼りに詩を書いていたと記憶しております。なので「ゴースト」などは近年の私の作風とは異なっていると自分では思います。その詩を今、長谷川さんが読んでくれてご感想までくれることに、たいへん感謝いたします。ありがとうございます。

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