バスに乗って
バスに乗っているうちに
わたしがバスになって
わたしを乗せて走っている
他に乗客はいないけれど
一番後ろの座席に
行儀良く収まっている
運転手のわたしは
わたしを乗せたわたしを運転しながら
時々故郷の坂道などを思い出す
それでも安全確認を怠ることなく
わたしはとぼとぼと海岸通りを走る
潮風に吹かれてこのままどこに行くのか
わからないけれど
行かなければいけない場所は
確かにある気がする
わたしがわたしであることは
何かのささやかな
贈り物なのだと思う
そしてわたしが
わたしに会えなくなる
そんな日がいつか来る
コメント
この詩の、「わたし」と向き合う「わたし」が、すてきです。
全体的に 好き なんですが、最後の方(わたしがわたしであることは というところから最終行まで)のところが 特に好きです。