消しゴム

砂漠に落ちていた辞書の
色味が好きで
そればかり見ていた
歯車をひとつひとつ
拾い集める
噛み合うことなく
それでも装置だけが
美しく形作られていく
かつて遠泳の授業中に
水平線を見失ったことがある
そのすっとした行方を
画用紙に描く
と、蜻蛉がやってきて
水平線にとまる
この砂漠の固有種だったと
記憶の中で思い出す
本当は何もいらない
すべてを消しゴムで消す

投稿者

コメント

  1. いつもながら、詠む視点には驚かされます。
    物事のラベルをそっと外した時に残るもの。
    存在・空・美。あちらこちらに在るのですね。
    とても良かったです。
    解釈が違っていたら、その時はごめんなさい。

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