弐景
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『ノオト/十月の原点』
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「カール、銃を取るしかないのよ!」
ミシェルの哀願。それでも頑なに拒む。
「クルト、君たちは間違えている!」
ベルリン大学、構内、社会科学研究室。
「武装蜂起しかないんだよ、カール。僕たち『黒い十月の赤軍』の方針は決まった」
クルトの煙草。縦一筋の煙。
「君たちの暴力的同時革命方針は間違っている、それはマルクス主義じゃない、スターリニズムだ」
「駄目、カール!」
追いすがるミシェルの手を振り解く彼。
「査問だな、決まった」
クルトは吸殻を彼に投げつけ、部屋を出ようとした。
「ちくしょう、このプチブルジョアめ」
彼が手に取った散弾銃、向けられた銃口、クルトへと照準。
「カール!!」
銃声。煙。鮮血。
ミシェルが崩れ、彼は放心した。
一九七四年、十月。
若すぎた彼、淡く、二十歳の誕生日。
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『野火と毒薬』
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医局は騒然としていた。
研修医のヤマダが突如マラを擦り始めたのである。
まだ昼飯前だ。
医局長のミズノタキコは絶叫した。
「ヤマダ君、直ちに、そのデカいのを仕舞いなさい! あたしが発情するでしょう!!」
「そういう問題じゃないです、ミズノ先生!」
看護師長のヤマザキミカも絶叫した。しかし彼女は既に蕩けた蜜壺に指を掻き混ぜていた。
「ヤマダ、気でも狂ったか!」
古参嘱託医のオオシマトクジロウも絶叫しながら、看護学生ミツハシクミコを担いで、駅弁体位に装着した。気が狂ってしまったミツハシクミコは駅弁を食べ始めた。
研修医ヤマダの竿が登り詰め、痙攣した。
医局は騒然としていた。
騒然とした医局テント前、K野戦病院ではノルマンディーから送られてくる瀕死の将兵たちが微かな望みで命を繋いでいた。
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