あじさいの、咲く丘に
あじさいの、咲く丘に、いっぽ踏み込んでいく
そこは見たことのない野原で、
丈の低い木が全面にはえており、
わたしは視界をさえぎられて、
光のほうに手を伸ばす
そこは見たことのない空で、
神の宿りにも似た静謐さが、
一瞬一瞬を支配している……だから、
立ち止まるわたしの足元に、
小さな菫の花を、置いておいてほしいのだ。
それはかつて生きた人たちとの約束……そうではないのか?
今、歌を歌い、野に混じる。
その営みは、ありふれた、ありきたりのもので、
とうといものからは遠く距離を保っている……のだが、
わたしはそのかすかな光しか信じることができず、
思わずうずくまる。
あじさいの咲く丘には、誰もかつて見なかったような、
とても高くて崇高な感情が漂っているのだ……から、
わたしは思わず地面に横たわり、菫の花、とともに……
なつかしい歌をただ歌うのだ。
鼻歌のように歌うのだ。
ただただ自分を責めながら。
コメント