日向

擦りむいた膝に塗った傷薬
押入れの匂い
詰め込まれた冷蔵庫から
出来上がる夕食
 
返せないままに
過ぎてきて今
老いたあなたが
春のひだまりで背を丸め
染みの浮いた手は
上着のほつれをいじり
 
散り始めた桜
背にすり寄る老猫
 
私は無言のままに
昼食を用意し
食後の薬、と数えて
手拭きを搾り
 
蛇口の水は冷たくて
 
繰り返す日々に
沸きあがる想いの
浅ましさを嫌悪しながら
今日も

投稿者

愛知県

コメント

  1. 浅ましさを思いながらも、繰り返すことができる、その動機を考えてみましたが、頭ではなく気持ちで推し量る種類の、尊いものを感じます。
    現実は時に悲しいですが、柔らかな薄日を通して見ているように、光景が浮かびました。

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