雨の中
空は待ってはくれず
降りだした雨に
急いで自転車を走らせ
帰ってくれば
嬢ちゃん三人組が
植え込み前のレンガから
順番に飛ぶ遊びの真っ最中
(せいぜい10センチ程の高さだ)
「ぴょん、ぴょこ、ぴょん」
「雨、濡れるよ」
「雨なんかへいきー」
(慌てて帰って来た僕が
バカみたいではないか)
駐輪場の僕の定位置には
コマつき自転車
(調子狂っちゃうなあ)
僕が向こう側に自転車を停め
トタン屋根の下で
肩の雨粒をはらっているのを
嬢ちゃんたちは
レンガの上に並んで
眺めている
(雨は未だ降り続いている)
「どこ行ってたのー」
「仕事」
「仕事なにしてるのー」
嬢ちゃんたちはこうやって
アパート住人の生活を
何気なく収集してくるのだ
どのドアにどんな人が
入って行くのかも
誰よりもよく知っている
(僕が四番目のドアの
住人であることも
先刻ご承知である)
駐輪場から玄関まで
駆け足の僕のことは
もう世界の外に
嬢ちゃんたちは
また順番に
レンガから飛んでいる
コメント
嬢ちゃんたちがとっても可愛くて
それでもってもうオバちゃんの素質を女の子は生まれながらに持っているのかも知れませんね。
なんとなく雀の娘かな?という想像と、生き物のいきいきしているところを雨の日に見たら
急ぐような気持ちが柔らかくなれそうだなと思いました。