ふるさと

小ぶな追った川の傍
口うるさい頑固ジイさんの家
ジイさんの話はいつも、戦争の話
相生橋の下には片足の兵隊さんが
今でもおるんや
雑魚寝の一軒家
土手の上のれんげ畑
廃品回収所の雑誌の上で
こっそり遊んだ

次の棲家は
タバコ屋の向かい
2階に植木がいっぱいの
ちょっとジブリなベランダ
病弱な母親
ネズミの足音
ズル休みのわたしを
泣きながら叱った山地先生
かがわくんはすぐだきつくからきらい

それから大学の敷地内
通路に捨てられた子犬
ワクワクしてつけた名前は一
いち番の一
鎖を抜けて国道で跳ねられ
しんじゃった
庭には一面曼珠沙華
息をひそめた部屋
明かりのない家

ずいぶん遠くまで来たもんだ
ふりかえればいつだって
相生橋の兵隊も、
ジブリなベランダも、
子犬の一も、
とおくから手を振っている

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