玄関のドアを開けて
階段を降りて行く
セメント工場の方角から
何かの軋む音が
聴こえて来る

時間が並ぶ順番を
決めているのだ

一階に降りて
道路に出る
左足と 右足を
踏み出すたびに
敷石が現れて
歩道が出来ていく

ヤマモモの並木も
生えてきた

斜め前を
はや足で歩く
足首から膝までの
ストッキングと
黒いパンプス
だんだん胴体も現れて
OLさんが
出来つつある

ぼくもそろそろ
出来上がる頃合いだ

後方に走り去る
自動車のエンジン音
その残像に
巻き上げられた
アスファルト道路の表面の
光の粒の
ひとつひとつが
おしゃべりしながら
舞い始めると

街が現れた
                                                                                
                                                                                  

投稿者

広島県

コメント

  1. すごい感覚詩ですね。街が生み出される様がリアルで新鮮ですごい。何の詩だろうと読み進めていったら、描写がとても心地よかったです。

  2. ザイチさん、読んでいただき有難うございます。自分ではこの詩がどんなものなのやら(?)よく分からなくて…。ともあれ、そのように言っていただいて感謝!です。

  3. 街が発生し立ち上がるさまが浮かびますね。それは自分の一日の始まりのようです。

  4. コメントありがとうございます。 実は、夜更かしでも二日酔いが原因でもいいですが、朝、まだ半分寝ぼけている頭が徐々に覚醒していき、外界を構成し、最後にスッキリしてきて光あふれる街が現れる、というストーリーが念頭にありました。それがちゃんと書けているかどうかが問題ですが、あまり自信ないです。

  5. OLさんが
    出来つつある

    面白いですね。
    何もかも誰も彼も出来上がっていくのですものね。
    久々に口角の上がる詩を読ませて頂きました。
    ありがとうございます。

  6. かさねさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
    「口角の上がる詩」なんて言っていただいて、たいへん嬉しく、こちらの口角も上がってます。
    これからもどうぞよろしく。

  7. 着目点と表現方法がとっても面白くて「わあ!」とリアルに感嘆しました。
    “軋む音”に小さな不穏という抜け感に繋がっている様に思いました。

  8. タチバナマコトさん、コメントありがとうございます。はじめまして。
    「軋む音」言われてみればそうですね。気づき をいただきました。Thanksです ^^。

  9. 白くて綺麗でした。

  10. 忘人さん、コメントありがとうございます。はじめまして。
    そうですね。色が立ち上がる以前の世界とも言えると思うので、白いというのはなるほどと思いました。これからもよろしく。

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