縫い包み生

いつも愛されて育ってきた
子供にも大人にも
ずっと愛されてきた
いつまでもずっと一緒に――
そんなことを考えていた

「ふわふわだね、クマちゃんは」
その言葉が、
縫い包み生(ぬいぐるみせい)で、
最後に聞いた家族の言葉だった――

一緒にいた――車の中に
子供の手に埋まって
ずっと微笑んでいた
そんな時に、車は……
縫い包み生を――、
百八十度回転させた

気が付いて周りを見れば
自分と子供と大人と――
全員血まみれに……
血の塊――いや、肉の塊と化して――
僕に話しかけなくなった

一人になった僕は
もう何もしたくない――
どこにもいない、大好きな人たち
哀しいどころか、
もう息すらできない
――ないはずの心臓が、
大きな鼓動を打って、
ずっと痛い、
ないはずの心臓が、あるみたいに――

警察が来て僕は拾われた
――正しく云えば捨てられた、だ
血まみれの僕はゴミ箱に捨てられた
それ以降はもう何も――――

まだ生きれたはずの人生が
狂ったのはいつだったのだろうか
――子供は何も悪くなかった
人生を狂わすことは何もしていない
僕も、していない……

大人のエゴ、大人の欲望
その所為で生贄になる“子供”たち
そして、それを止めない大人も――
“醜い大人”の一人だ

火に近づくたびに思う
物は捨てられたら本当に、
“廃棄”される、と
哀しいけど事実だった
子供が廃棄されたように、
社会から子供が廃棄されたように、
大人が子供を廃棄したように、
縫い包みも哀しく廃棄される

でも、向こうで子供に逢えるのなら
僕は十分だ、もう言い残すことはないのだ――。

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