マイホーム

ついに、
家を持つことはなかった
身軽でいたいと
仮住まい転々としてきた

何十年ぶりに
子供時代を過ごした
祖父母の田舎を訪れると
広く立派なはずの一軒家が
苦しげにそこにあった
屋根瓦が崩れ落ち
窓は傾いて
時代はとっくに
通り過ぎた後だった

思い出はどこにでも、宿る
支え合った日々も
憎み合った日々も
どの家でも
大人は明日のために今日を削り
子供は明日に小さな心を揺らして
それは知らず知らず
刻まれて積上げられ

わたしの中で
錆びつくことのない
マイホームになる

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