冬の傷 (過去作)

ふと
人の名前が思い出せなくても
顔は覚えているし
声も覚えている

でも
いつも美しき数学の旋律は
滞らずに
ペン先で歌える

あの
西の雲の向こうの
紅く染まった
夕焼けの香り

冬の果ての果てに
何を見ようとも
過ぎ去った季節は
もう過去のものだと
冬の果てさえも過去だと
そう知っているけれど

傷というものは
治ったように見えても
力をかければ
かさぶたはまた
取れてしまう
取れてしまうのだ…

投稿者

埼玉県

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