非線型方程式 (E)
すべてのひらかれた窓はわたしの眼である
沖縄のサンゴのいたるところでわたしは切開する
波のくるたびに口の中にそれらがはいり息をとめている
悲しみの素粒子がボソンのとまどいで春と〈ゴイサギ〉とペルシャである
ちゃんとした、茶碗のふちで、不幸の毛並みに惜しみなくする
ペンキ屋のペンギンのいただきものの〈イワシ〉をいただく
この吸着する国体のあかるみにでてくるてのひらサイズでわたくしです
モルトの樽を焼くキューピーの腰を焼くカナリアの喉に親しく
わたしが口にする〈エビ〉の全身の生の堅くする
この中東あたりに腰の曲がった文明が〈割り竹〉の痛みを教えて
ヒラタクワガタの精神がアルトの糜爛する肉体にあえて近づく
ひるがえる君の〈コクシン〉のきしみつづける焼津港のボール
絶命した若い精神の〈ルビー〉のきしみにキリキリとスカルする
指の語り続ける、細竹の語りやまない、にしるいのキャッスルであるわたし
あえなくて、かばりあえなくて、くらむすりむと、ひこらばむだらん
このひとりめの恋するボーガンの、たちいりがたく、ひなのさとにふるものは
海くらく、すこしのあいだも、君に〈はったいこ〉するときに
文明堂、分水嶺、ふとした会話のはしに、古代する
身体が海に沈む日輪に、記憶するロードスター、ブリキのやさしく
ただ、この開かれた精神の〈コモリク〉の
立田のカシノキの広葉樹林のほだされていく
樹齢は樹林に受戒は湿原に
サンカの石に築かれて
小さな火
そのぼんやりとして
ねむりにつくと。
コメント
言葉の連射が思考にズンズン響いてきました。特に中盤の意味のない言葉の羅列がタイトルに回帰して、坂本さんらしい前衛的な作品になってると思いました。
冒頭から一気に持っていかれるパワーを感じます。なんのお題が来ようとなぎ倒す言葉の土石流。(E)もわからないし、<>で括られた言葉もわからない。わからないこと自体で読む人はそのままチルってしまう詩なんだろうな、これは。と、わかったつもりでいさせてください。
テキストとして飲み込もうとするたびに、押し寄せてくる違和感が心地よい。
唇に触れただけで感じる違和感もあれば、想像を裏切る味に舌が驚く違和感もあるし、喉と食道が嚥下することを拒否する違和感もある。さらには胃の腑に落ちたあとで身体の内から浸食してくるような違和感まである。一皿でフルコースの美しい違和感。