重ねる

 
 
紅茶は香りたち 
 
流しっぱなしの歌が
心の穴を隠していく
 
いびつな形した私の
不器用な嘘も覆って
 
思考の隙間を
埋め尽くす音の連鎖
鈍くなった頭に
冷めた紅茶の
香りは褪せて
 
曲の狭間の
僅かな静寂に
かみ砕いたクッキーの
甘さが染みていく
 
心には変わらず
満たされない穴
今日も誰かに誠実で
 
覗き見る窓は
雲で陰り
 
青空には届かない

投稿者

愛知県

コメント

  1. 紅茶と音楽とクッキーで「心の穴」をそっと重ねて隠して、
    青空に届かない想いも曇り空だからこその静かな希望かな と
    自然には敵わないけど良し秋ならではの作品だと感じます。

  2. 汀尋さんは、情景描写と心情描写を連結して重ねることが、うまい詩人だと思います。

  3. @こしごえ さん
    ですよね。なんか無理なければ名前の由来を尋ねてみたくなりました。

  4. 香りがたつから温かい紅茶で、それが秋の気配を感じさせていると思いました。
    “今日も誰かに誠実で”
    すてきです。

  5. とてもエモーショナルで誠実な詩だと思います。
    結びが特に素敵でした。

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