金魚
キャビネットの上
苔の生えた水槽
泳ぐ金魚は2匹
ヒレを揺らし
しきりと口を開けて
ユラユラと
水槽のガラスの向こう
並んだ席の客
次々と散髪されていく
くすんだメニュー
日焼けた壁紙
高架下の床屋は
今日も混んでいた
ゴトゴトと伝わる振動
線路を走り去る電車
店を出て
仰いだ高架のホームに
待つ人はなく
ある日
閉められたままのシャッターに
張り紙一枚
駅の耐震補強と言われ
高架下の床屋は無くなった
まぶたの裏を
泳ぎ去るヒレが
撫でて過ぎ
建屋もなくなった夜
月明り深く差し込み
ユラユラと
蠢く影
コメント
還らない情景がエモーショナルです。
タイトルが金魚なのも沁み入って。
耐震補強後に入る店舗はチェーン店が多いように思います。
ユラユラと
蠢く影
タイトルから、ずっと来て、最終連からの余韻が素的。
諸行無常を感じます。
「蠢く影 」と「ゴトゴト」
すぐに写真ができます(笑)
@たちばなまこと さん、コメントありがとうございます。
駅前に店が少ない地域なので、耐震補強後は貸し駐車場になってしまうなんてこともありそうです。何かお店ができると便利になっていいんですけどねー。
@こしごえ さん、コメントありがとうございます。
通っていた店が無くなると、がっくりしますね。
@北杜アトム さん、コメントありがとうございます。
蠢く影の写真ですか…見てみたいような、怖いような…