夏の終わりの公園

 You believe in the power of words?
 I know it’s a foolish question, but it keeps haunting me.

公園の隅に白いペンキで塗られた幅2メートル、高さ1.5メートルのボードが設置されている
ボード上端、中央に「あなたの言葉を書いて下さい」と書いてある
でもそのメッセージは特殊なインクで書かれていて見えない
実はその白いボードも透明な材質で作られていて見えない
そこに見えているのはいつもの草むらで白いボードには誰も気づかない
皆通り過ぎていく

地面をつついていた12,3羽ほどの鳩が羽音をたてて一斉に飛び立つ

 ベンチに腰掛けずっと俯いていた老婆がゆっくりと立ち上がりボードに近づいてゆく
 なにか呟きながら小さくオレンジ色の文字を書く

 陽を反射して、キラキラと輝く星屑のような水面を見つめていたセーラー服の女の子が
 オレンジ色の文字の隣へ水色のペンで文字を書いていく

 帰る場所を失ったようにベンチに仰向けに寝ていた中年男がボード前で灰色の息を吐き出し
 水色の文字の隣に緑色の文字を書き始める

夏の終わりの陽射しの中を子供達が駆けていく

白いボードに書かれた文字は僕には見えない
西から東に抜ける風がボードを揺らすと
見えない文字は
歌となって
空へ舞い上がる

投稿者

福岡県

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