伝言

コンビニのレジに並ぶ
前に何百人何千人いるのか
遥か彼方のレジを目指す
商品棚の隙間から
波の音が聞こえる
遠くまで来たのだなと思う
レジを済ませたお客さんは魚になり
上手に泳いで店を出ていく
わたしもあんな風になれるのだろうか
長い長い時間が過ぎていく
その間に声変わりもすっかり終わり
お札の肖像画が変わった、と
前から三回ほど伝言が回ってきた
わたしは何を買おうとしたのか
商品は手の中で元の形や色を
すっかり失ってしまった
それでもきっと
大切なものなのだ
ひたすら握りしめている

投稿者

コメント

  1. いったい何年並んでいたんですか、と。
    毎日並んでいる列の長さをつなげると、この詩のように何百人何千人も前にいそうだなぁ。そうやって考えるとよく毎日並んでいられるものです。
    手のひらに握りしめたものは、生きる、という意志でしょうか。
    レジを済ませた客を、「魚になり上手に泳いで店を出ていく」と形容しているところが、すてきです。

コメントするためには、 ログイン してください。