鉄道
この一生
数多の鉄道に乗ってきた
大阪にいた頃
鉄道は家から心斎橋へと続いていた
午後の放課後、私はよくそこへ向かった
道中は何も思わぬまま
やがて辿り着き
あの長い通りが目の前に現れる
私は己のロマンを
その賑わいと人混みに寄せた
そこで私は何も求めず
音楽を聴きながらただ歩いた
すれ違っていった人々を思う
この生涯でまためぐり会えるだろうか
いつか大阪へ戻って
また音楽を聴きつつ歩けるだろうか
夜、家に帰っても
眠ることができず
ただ心斎橋のことを偲んでいる
かつて出会った人たちの中に
あの旋律を覚えている人もあれば
旅のついでに過ぎ、すでに忘れた人
何ひとつ心に留めなかった人もいる
誰も知っているように
いつの日か私は心斎橋へ行けなくなる
老いた私には
若き日のように通りを歩くことはかなわない
だがこの音楽は何十年も鳴り続け
私にはこれほど長く続けられたものは他にない
もう行けなくなった時
私は若き日の写真を開くだろう
若い私はバスケットも上手ではなく
粗末な部屋の中で
ただ私のロマンを書き綴っていた
明日の鉄道を思う
私はこれからどこへ行くのだろう
今はもう心斎橋から遠く
私の音楽もあの街まで届かない
青春の華のうちに
一歩一歩歩くこともできなくなった
この先、心斎橋と再び会えるか
私には予測できない
すべて時に委ねよう
私の変わらないものは
胸に宿る美しさと
運河のように果てしなく流れていく
未知と迷いだけだ
さあ行こう
青春を歩き終えて
年を重ねるほど
世の苦しみの味がわかってくる
ゆっくりと
人生の鉄道は走り続けている
そして次の駅は
やはり心斎橋である
コメント
この詩の語り手は、人生という名の列車で
ロマンを追い求めて旅をしているようで
その実、心はずっと心斎橋に留まっているような
懐かしい故郷への郷愁、でも
故郷に錦、という感じでもなく
そこがすべて、のような感じがしました