プラネット

瓶詰のジャムの中を泳ぐ小鳥にはもう片方がある
慎二がそう言うのでわたしたちは探すことにした
プラネットはわたしたちの住むところ
慎二がそれでいいと言った
わたしたちはプラネットの道路を歩き、探す
光はいつだって小さくて頼りない
そのことは靴が一番よく知っている
光なんて踏んだ拍子に
すべて砕け散ってしまえばいいのに
弱く鳴く蝉の真下で
瓶詰のジャムは小学生の絵の具みたいに
綺麗と汚いの中間を揺れている
白菜が高くて買えないね、
と言う美容部員の柴田さんに
そうですね、
と答えたわたしを慎二は知らない
おそらく知らないまま一生を終える
慎二の背中には白い羽が生えている
わたしたちが産まれてからずっとそう
もしかしたら小鳥の片方は慎二かもしれない
けれどそれを口にすれば慎二は瓶の中に
二度と戻ってこない気がする
そして瓶の中の小鳥はわたしだと
わたしはいつ気づくのだろう
夏はまだ終わっていないのに
慎二の手を握ると冷たい水のように冷たい
慎二のことを何も知らないわたしは
冷たい手の奥にある温もりを知ったまま
一生を終えるのだ

投稿者

コメント

  1. 入れ子になった箱(瓶?)のように、重なった世界にいながらも、それぞれは違う入れ子に入っているのかもしれない、と感じました。その入れ子とは、それぞれの自我であり、自我であっても、自分のことはよくわからいものですね。

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