冬を待つ
まだ頬の紅い子どもの頃に
おもちゃのポストに投函した手紙は
頬の蒼い大人になれば
約束の樹にもたれ掛かって
恋人を心待ちにしている時にしか
配達されて来ないから
舞い落ちるイチョウの葉を数えながら
ひとり手紙を待っていた僕は
コスモスの季節が去って行くことに
ようやく気が付いたのでした
最後の葉っぱを見送った
ケヤキは空にたどり着けないまま
せめてあの雲に触れようと
精いっぱいに背伸びするけど
どうしてその枝先が
僕の胸に突き刺さるのだろう
海のように深いけれど
取るに足らない僕の悔恨は
ちぎれた手紙の破片になって
落葉と一緒に風に舞い
地を這い
雨に打たれ
あの海へ流れ着いたなら
流木で安らぐ鳥が咥えて
雲の彼方へ飛んで行ってくれるから
夜空を舞う雪に変わり
この街を純白に染めるだろう
コメント
「春を待つ」を書くべき時に…完全に時期を逸してしまいました。せめて一月に出せれば良かったけど、その頃はまだ推敲中、て言うかまだ参加してなかった……。
春来たりなば 冬遠からじ
babel-kさん、コメントありがとうございます。はじめまして。
なるほど、仰るとおりですね。これからもどうぞよろしく!
季節の移ろい、その哀しさを想ってみました。実は、この歳になって、おもちゃのポストに投函したかつての手紙が、時々私の元に届くようになりました。…人生の妙。
長谷川 忍さん、コメントありがとうございます。
手紙が届くようになったのですか!? おめでとうございます!!
「人生の妙」を、勝手にいろいろと想像(と言うか妄想?)させてもらっております^^。
雄大な自然の中を心は姿を変えながら巡り還ってゆくのですね。
たかぼさん、コメントありがとうございます。そんなふうに読んでいただいて嬉しく思います。
あああさん、コメントありがとうございます。素敵なコメントを、ありがとうございます^^。