プリンタ

初めての夜は
記号的な事件
白い背中にも
絶縁体の刻印
無意識は零れ
機械音に浸る
という具合で
何処に居ても
インク切れの
愚行を演じる


迸る自己愛や
頑なな依存症
不調和の欠片
取り残しては
積み上げたり
踏み潰しては
放り投げたり



擦れた表現が
僕らの限界で
それ以上は花
それ以下は灰




所詮コトバは
虚構の廃棄物
油紙を滑って
滲むばかりの



平面を躍れよ
酸化するまで
非バランスの
装飾で充分だ
誰も触れない
誰も歌えない
空っぽの筐体


前衛と書いて
没個性と読む
胸中ぐつぐつ
爆ぜる瞬間の
イデアを露呈
此ればかりは
プライドより
脱衣の方法論
という辺りで
    切断

[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.032: Title by りえ]

投稿者

大阪府

コメント

  1. これは…。w

    ちなみにワタクシ、HNは変わってますがポエ会の古参でございます。

  2. トノモトさんの詩の中で好きなフレーズを探すのが密かな楽しみなのですが、今回は
    “それ以上は花/それ以下は灰” と
    “平面を躍れよ” です。
    見事にプリンタで感嘆。

  3. ↑ そうですよね。いつも格好いいフレーズが並びますよね。見た目もスタイリッシュで良いです。

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