ラヂヲ
切り忘れたラヂヲが
無駄に大きな音量で
三面記事を垂れ流す
夏の陽射しにも似た
ジリジリする焦燥感
手の平に汗がにじむ
思考だけは妙に冴え
ラヂヲのニュースに
自分の姿を投影する
平衡感覚は既になく
遠く身体の内側から
警報が聞こえてくる
無秩序なこの世界に
苛立ちを覚えながら
耳はラヂヲに釘付け
負の衝動を抑えつけ
正気を保つことすら
限界に近付いている
今更癒しの音楽など
手遅れもいいところ
無神経なラヂヲ放送
自我の崩壊を迎える
その時までに静寂を
早く取戻さなくては
コメント
AMラジオのまろっこい音を思い出します。
耳の奥でときどき砂嵐が鳴っています。
確かに。FMのクリアな音のイメージではないですね。ともすれば雑音になりかねない音です。