壁に向かって手を挙げなさい
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「チンコとオメコの諸君、 君たちは完全に包囲されている」
「おとなしく、 セックスをやめて、 出てきなさい」
「壁に向かって手を挙げなさい」
マシンガンを手にした
ガキんちょマフィア
そう告げて
三角帽子を
かぶせた大人たち
並ばせた
映画「暗殺の森」の
スクリーンの前
21日目の三日月
子宮が疼く夜
逃げ出してやるんだ
真夜中の
アイスクリームパーラー
飛び出して
Apple ジュース飲みながら
女の子たちが
ツキを計ろうとするとき
時限ピース缶バクダン発火で
何もかもふっとぶ
その前に
男の子たちは
五月の牧師さんの
戒め忘れてる
千のナイフと
千ズリ一日三回毎食後服用を望んで
女の子たちのパスポート
飲み込んじゃう
レボトミンで寝込む夕方には
アルファロメオで疾り過ぎるよ
彼は
セシルカット少女の
フィルム・ノワールみたいな
結末のこと考える
週末のクラブを追い出されたって
溺死体だらけの運河の底でも
ハッピーにレイヴしあえる
松竹ヌーベル・バーグなんて
忘れちゃった
彼女の美しい地図みたいなダークヘアー
パツキンの今はどこへいったの
おんなともだちが
「幸せになれるの?」
って訊いた
夕べメールで届いたウイルス[yyshiro 731]
ファティマの予言 送りつけられたの
怯えてるのよ
宿命の日曜日に
置いてきぼりで
電話の向こうでとり残される夜
あたしは
待っている
簡単に
愛するって こと
それはシェービングムースの泡みたいに
一瞬で
それはボンネットの上で死ぬように
はかなく
あたしは
選ぶしかない
バター犬みたいな奴隷 or 腹話術みたいな嘘っぱちを
「君たちは完全に包囲されている」
「おとなしく 愛し合うのをやめなさい」
「壁に向かって手を挙げなさい」
ガキんちょマフィアは
ついに前段階蜂起を開始した
手始めにピエル・パオロ・パゾリーニを飯炊きオカマ女として火星に売り飛ばし
西園寺リル を市中引き回しの後 血祭りに上げた
21日目の三日月 、子宮が疼くこんな夜
捕らえられて引きずり出された
三角帽子も滑稽なあたしとあなた
映画「暗殺の森」のスクリーンでは
マルチェッロとジュリアが列車のコンパートメントで愛し合う
あたしの憂鬱
あたしの行く末
不発になったカラシニコフ
あなた
ガキんちょマフィアのマシンガン
一斉射撃の火を吹く前に
いつかのように
Apple ジュースの味のするキスをして
スクリーンで
アンナとジュリアがレズビアン・ダンスを踊るころ
穴だらけに打ち抜かれたあたしとあなたのザンガイが
便器に落ちた使用済みナプキンみたいに
きっと 運河は赤く染まっちゃう
だからその前に
だからそのサイテーな終わりの前に
あたし最後のワガママ言うわ
Apple ジュース みたいなキスをして
あなたに向かって叫ぶのよ
Apple ジュースみたいなキスをして
銃殺の弾が撃ち抜く
命の瀬戸際に
あたしは
あなた に
永久の愛を告げる
Apple ジュースみたいなキスしてよ
Apple ジュースみたいに
キスをして
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コメント
すごく素敵な詩ですね
感動しました
ありがとうございます。そう言って頂けたことが今日一番の僕の幸福です。
フランスのヌーベルバーグの映画のような若者のやるせないエネルギーを感じさせる詩ですね。
たかぼさん、ありがとうございます。僕がフランス映画で青春過ごした自主映画監督崩れゆえに投影した詩だと思います。