本望

それできみの血肉になると言うのなら
僕のこの身体を食べてくれて構わない
どうせなら何ひとつも残らないように

肉は食べやすい大きさに包丁で刻んで
骨は喉に詰まらないように粉々にして
臓物は傷みやすいから早めの下拵えを

献立も味付けもきみの好みに合わせて
美味しく食べられるかはきみの腕次第
素材はこれ以上にも以下にもならない

食べ切れなかったなら仕方がないから
きみの花壇の肥料にでもしてもらおう
そして綺麗な花をたくさん咲かせよう

  

投稿者

静岡県

コメント

  1. 初見では例えば恋人などにあてた恋文とも読めましたが、ひねくれた読み方をして、例えば牛が育ての畜産業者にむけた気持ちを表したものだ、などと読むとまた深いものがありますね。

  2. たかぼさん
    なるほど、そういう見方もできますねー。発見です。^_^

  3. たかぼさんのコメントにあるように、この詩はBENIさんの潔さみたいなものと同時に、いろんな置き換えの余地があって良い幅が出ている気がしますね。
    角度は違いましたが、詩の初めに私はカマキリの生態みたいなものを思い浮かべたりしました。

  4. うーむ少しメイワクかなとか思ってしまったけど、たかぼさんのコメントをみたらなるほど全ては誰かの血肉、というか利益(というとまた違う感じがするけど)になるかもしれないなと思いました。

  5. あぶくもさん
    これを書いた時に頭にあったのは、実は臓器提供なんですよ。“きみ”に何かあったら、俺のこの身体の使えるところを全部使ってでも生きていてほしいな、と。
    カマキリの生態ですかぁ。それもなんだか陰惨ではあるけれど美しいかもしれませんね。

  6. 王殺しさん
    誰の何のためにもならないのなら、生きていることに意味がなくなっちゃいますよね。願わくば、愛する人のために生きていると思いたいものです。

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