ここ
公園の水道水で
顔を洗い口をすすぎ
サッパリしてから
深緑の手ぬぐいで
両手と顔をふいた。
この深緑の手ぬぐいはずっと以前に
家族から頂いたものだ
頂いたけれど そう 深緑の手ぬぐいと共に何かを
頂いたのだけれど 何かを
失った今
公園の木製のベンチに座る。
青空にぽっかりぽっかりと浮かぶ
白い雲二つ
風に乗って流れていく
雲は形を変えながら
どこへ行くのだろうか
私は
どこにも行けない
ここ以外に。いいえ
ここ以外には行かないのだった
どこへ行ってもここはここだ
これは、どこかのここ
ここはいつも私を
見守ってくれている。
青空にあった雲がいつの間にか無くなっていた。
私という存在が無くなれば私はここを失う
しかし、ここ自体は私よりもずっと在る
ここという所。日は傾いて
どこかの家々の明かりが付き始めるのだ
それぞれのこころにそれぞれのここが
添うように
コメント
思いを巡らせる様が素敵な詩だなぁと思って読みました。
「ここはこころの中にある。ここはこころの数だけある。」のかなぁ、なんて思えてきました。ありがとうございます。
@あぶくも
さんへ ああ、あぶくもさんがこの詩からその思いを巡らせてくれてそれが貴重だし、とてもうれしいです。
うん。そうなんですよねぇ。「ここ」はその人その人のそれぞれにあるんだと思うんです。そして、ある意味、「ここ」は宇宙がある限り、ずっとある場所なんだとも思う。
こちらこそ、ありがとうございます。
自分の今いる場所がここ。場所を移ればそこがここ。なんだか哲学的ですね。
@BENI
さんへ ご感想をありがとうございます。
んー。そうその通りです。自分の居る場所が常にここです。でもそうですねぇ、哲学は忘れましたが若い頃産毛ほどに哲学にかぶれたことはあります。でも哲学も身に付かなかった。なので哲学とか、自分では意識して詩を書いているワケではありません。この間の期間限定のフォーラムの中で言ったかもしれませんが、世界とかさまざまな存在とか自分の中の世界とかと対話などしていく中で生まれた言葉を出来るだけ詩になるように作品を書いています。うん。ふふ。
でも、BENIさんがこの詩を哲学的と言ってくれて光栄です。うれしい。