エンターテイナー
湿度の高い部屋で
いま無闇に陵辱される処女たちよ
その心が蝕まれるとしても
いつか僕が音楽にしてやろう
ネオンに溢れる街で
いま無情に迫害される不能たちよ
その体が傷つけられるとしても
いつか僕が油絵にしてやろう
知らない国のどこかで
いま無惨に銃殺される子供たちよ
その命が奪われるとしても
いつか僕が映画にしてやろう
希望が消え失せた世界で
いま未来を見据える若者共よ
その言葉に意味はなくとも
いつか誰かが詩にするだろう
[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.070: Title by りゆ]
コメント
みんないつもありがとう。
あと、どうしても見過ごせないので言うけど(伝えたい人に伝わるかどうかはわからないけど)、自分の投稿ばかりで他者の作品にはコメントしない人ばっかりで、つまんなくなってきたね。
エンターテイナーという存在の冷静なまなざしを感じる。芸のためなら、と。そのエンターテイナー性をうまくあらわしていると感じます。
そして、最終連が決め手。
これらの詩を 書ける トノモトさん自身もエンターテイナーではないでしょうか。そう思う。詩人としてすてきです。
とびきりの変化球が多いトノモトさんですが、この作品は直球で逆に新鮮でした。音楽、美術、映像そして文芸。まさに4大エンタテイメントですね。
どうしても見過ごせない気持ちは分かります。私もそう思いますから。まあでも人それぞれ心などの事情がおありでしょうし、投稿規則に違反しているわけではないのでしかたがないな、と思うようにしています。
ハゲワシと少女の話を思い出しました。
可哀想だが所詮は他人事、そんな冷たさと歪んだ同情を感じました。最終連の締め方も素敵です。
自分の詩の“本当の”意味は自分にしか分からない、が持論ですが、
「自分の詩が相手には違う顔を見せている」
これが面白いと思うので、感想を共有しないのは勿体ないなと感じます。
もっと交流が増えて欲しい……!
たかぼさんと似た感想だけど、ピカソだって岡本太郎だってシュールじゃない絵も元々すごく上手いんだよってことを思い出させるような詩でした。
「誰かが詩にするだろう」と、仕舞うこの詩を置いていくなんて、マイクをそっとステージに残していった百恵ちゃんみたいだわね。
概念としての陵辱、迫害、殺害であると願いつつ、最後の連がリアルにピュアに響いてしまったのは自分が詩を書く人間だからなのかもしれません。
人の詩を読むときは心のエナジーをものすごく消費するので、調子が悪く読めない日もあります。
同じように消費しながら読んで感想まで書いてくださるのはとても光栄なことで、その人のことはずっと大切に思っています。