さめざめと泣くときに

さめざめと争いの鱗がひかる
ペルシャ軍の飛び矢が、もうもうと空をかける
黒くよごれてわたしは死の淵にいる
キリストの衣を裂くようにして
メダルの鎖がなまめかしくも素肌にすべる
あわれ、ミンダスの王家の人々は
口をふさがれて、泥の道をひかれていく
綱は太く鎖は重い
さめざめとおのれの運命を呪うがいい
赤土は乾き、砂漠の愛情は重たい木の車輪につぶれる
博士の喉は茶色い粉末の植物から人体の微細へと
我等はほそぼそと村々から、ろくろの軸のように歩く
極限のアデレード、干し草からの香りを
くわえた煙草の灰からしわだらけの言葉を拾い
わたしの眼はひもじい革のベルトを打つ
蝋で固めたひとつの封印である、ボトルと共に
羊の皮の一枚のコートのようにすっぽりと
しいたげられた我々の砂のような意識の奥には
はかりながら、それでもはかりしれない、寒月
湿気と虫たちに怯えて、石の牢獄をすみかをする
それは満月の夜の足の指
しらじらと鐘は鳴る
つながれた王家の人々の首に縄がかけられて
つぎつぎに吊るされていく、影絵のような夜
わたしは、ひとつの星を見上げている
それは赤い馬、赤い狼、凍結のマンモスたち
溶け出している原始人の額から
マッチをする男たちの姿が見える
それは青いクジラ、青い氷河、取り返そうとする大角鹿たち
やすらかに額を集めて
大地は拡散された命のバイカルを掘ろうとする
人間たちのスマートな論理などには眼もくれず
トウモロコシのサイロから炎をあげて
人型の戦闘機が空を飛ぶ
よこしまな燃料を燃やしてください、雪原に
背後から撃ち殺してください、バッカルのように
点数をたよりに、こまかな印刷技術が繁栄する
おお、ここから先にはこだわりの宇宙が展開する
愛情の岩石が、掘り起こされている
さめざめと泣く、岩だらけの街に
時計台を用意しましょう
わたしたちの街に
そしてさめざめと泣くときに。

投稿者

岡山県

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