時の流れ
波立つ寂しさの向こうで
過去が揺れている
過ぎ去りし日々は
懐かしく愛おしい
冷たい風に洗い流される旧い季節
手慣れた手つきで秋化粧をする
澄んだ瞳の空
心変わりした女(ひと)のように
もう未来しか見ていない
過去に未練はさらさら無い
私と言えば
ロマンチストと言えば聞えが良いが
過去にこだわる女々しい輩
ワンコイン芝居を演じては
孤独を詠う
痩せた似非詩人を気取ってみる
寂しさの針にひっかかり
私の時計は止まったままだ
波立つ寂しさの向こうで
過去が揺れている
コメント
えも言えぬ寂しさが表現されていて素敵な詩だなぁと感じます。
過去を切なく振り返るというのは、成熟した大人の証拠でもあり、経験値がたまっていることも表している気がします。「痩せた似非詩人」のところが何とも好きです。また次の作品も楽しみにしております。ありがとうございました。