KABOSU
それについて、わたしは語れないのだ
淫乱な女たちが街を占拠している
腐った外車が、ガルガルと夜の街をゆく
パーティなんてものじゃない、猫の死骸だ
そんなときに、あいつが薄いドレスであらわれて
俺のいちもつをひんむいた
皮なんてものはどれも、むかれたら小瓶なのさ
店の奥にはそんな部屋があって
あいつはラッパ飲みして、げらげら笑った
うまそうなケツをしてて、げらげら小瓶をひっかけた
夜の街のうすきたない時間を哲学してみろ
バケツの中には神様が眠っている
あいつは宇宙空間にきらびやかなステーションを
ぼろぎれの陰唇のステーションを
唇ははっきりと「やりたいの」と
うごかされてゆく、真実の力で、世界の変革の瞬間へと
君はまだ未熟な性のキスの手前で
あたたかなキスの、ぬらりと、のめりこむ哲学
変質する感情の、変質する体質の、変質する性のよろこび
あれはたしかに汚れた街の、くたびれた乳房の
かきむしる茶髪の、薬の世界
よどんだ哲学のひらかれた両足の
まどろみをうすくのばして、ちょうだい、わたしに
くださいな、わたしに
ひらかれた世界の、まひした感覚の、よろこびしる
くださいな、あたいに
哲学の神秘の苦しいほどに、よろこびのしる
まだあけない、まだあけはなたない
君は小娘で、かたい尻、まだあげない
哲学はひらく、かわいた両足の
知らない真実のかぐわしい真実の
ひろげて、みつめて、あいしあう
そこだけがしんぴの哲学を語る
あらあらしいしゅんかんの
こたえてください
KABOSU
あらあらしい愛の
哲学で。
コメント
薄汚い場末の、なぜだかそれでも異国情緒の、行きずりの女のような、悩ましい哲学するインテリたちの、なぜだかそれでも運命の女のような
詩はもっと音楽であっていいのだと、天使が言っていた、たしかにマラケシで聞いたような、しかしおいらの音程は正しいのかい。
女が言った言葉の数々を覚えていると、しゃれた柄のシャツのにいさんがつぶやいた、それじゃあんたはどんな「言葉で落とすのさ」、イスラムの神秘の哲学が、くらくらする、運命の女だ、あいつが。
タイトルの回収に躍起になりましたが、どこかにKABOSUを感じるのでした。
外車がガルガルしているところ、とてもすきです。
柑橘の若々しい香りということなのかも。
カンキツの類が豊かさの象徴であるのかも、人間の精神の奥も、その香りであふれていてほしい、次はまったく別の世界を描きたい。