単純にしておくれ
アッパーカウンター、単純にしておくれ
砂漠への墜落、単純にしておくれ
サソリのように話をあわせてくるおまえ
白銀の霊廟のようにわたしの魂をゆさぶるところ
はなかんざしの、誘惑する広大な湿原地帯
アンダンテする、葦原のみちなきところ
極大の宝石の爪を立てて
かっこつきの、からばこの、ソーダ水の、干されている
たったいま、ゴーカートの、曲がり損ねて、ひまわりの茎がおれる
さかしまの天球儀から星空を見るとき
けだるいし、たちあがれない、ヒヤシンスの底
だからもっと、単純にしておくれ
愛されているくちびるの指でふれるとき
だからそっと、単純にしておくれ
両手の薬指の腹でカエルの足をつまみあげて
魂のゆくてには、干し草の山がある
たくましいゆうわくの言葉のスラーの刈穂のままに
甘い菓子の銀の皿に並べられて、おまえはつまみあげれば
ふわふわと、しとしとと、ペルシャの猫の干された
眠たいベッドのラジウムの放射する
たれさがるラシャの、祈りの放射する
すべてをあいまいにする、おまえのほぞ
だんだんにむすばれていく、おまえのはだ
もっと単純にしておくれ、天上の芥子粒のように
ふるふると、快楽の帽子をかぶりながら
葬儀のしたたかなシンボルはゆれる
サラブレッドの駆ける水源のおとずれて離れない
離れたくはない最後の瞬間まで
ピアニシモ、ピアニシモ、脳髄の神髄までも
バニラの言葉の、カンニンシテ・・・
バラバの最深の、カンニンシテ・・・
ゆるしてください、このままゆるしてください・・・
地球の端から海は落下する
ほとばしる水のしぶきとともに落下する
法律の言葉の明確に規定するわたしはすでに
上空の採決された奇数である
だから、
単純にしておくれ。
コメント
すごいですね。詩人の脳裏から想像力が奔放に漏れ出ているようです。そのあまりに自由な連想と言葉遣いは私には真似できないもので、何処かしらランボーを彷彿とさせます。繰り返し読み直してみたいです。
ああ、アルチュール、人間の感覚の、とけだしてメタルの叫び、まだまだ彼の秘密はつづいています。
詩人の脳内のイメージの連鎖と叫び、それに呼応するように読者である私の叫びがあいまみえて見事に着地するところが心地良いです。
だからもっと、単純にしておくれ。
と叫びながら、ずっと読んでいられる。
ふらふらとかいていますので、ふらふらとよんでください、アルコールでしたら、やはりワインですね、ボルドーのワインで、酔って書きたい、そんな季節です。