煙の中の記憶
おじさんはウルトラマンだった
火が出る変身アイテムを持ってたし
くたびれたおじさんの正体を
僕だけ知ってると自慢に思ってた
あいつとあまり関わるなと
お母さんは言ってたけど
メビウスと仲良しなおじさんは
僕にとってのヒーローだった
*
初めてのキスの記憶は
ほんのりバニラの味がして
くらくらとあてられた僕は
それが何かもわからなかった
ませてた彼女は気づけばいなくて
僕もすっかり忘れていたけれど
10年越しのウィンストンは
ほろ苦い思い出と燃え尽きた
*
セッタが好きだったあいつは
きっと救いが欲しかったんだと思う
何も言わずに俺の隣に座るのは
どこにも居場所がなかったから
今どこにいるかも知らないが
俺は向き合うべきだったんだと思う
呑気に白い星を七つ数える間に
きっとできたことはあったはずだから
コメント
※未成年なのですべて想像です
はじめましての方にも読んでほしい詩人さんの詩が流れていってしまうのには寂しさを感じてしまいます。
3部構成というのか工夫があり面白く拝読しました。
ほんのり切ないです。その切なさが絶妙にいい味をしているように感じます。
セッタは世界でいちばん美味しい煙草です。ですが、若い頃、そんなアロマを身に纏い、そんなフレイバーの接吻を受け入れてくれてたのだなと思うと当時の女性に何だか申し訳ない気持ちでいっぱいになるんだなぁ、今は。
詩の中の三つの記憶が良いトリガーとなり、自分の記憶も紡がれる感じがしました。
煙草が格好良いアイテムだった時代は過ぎ去ってしまい、愛煙家としては寂しい気持ちを抱えていましたが、この洒落た詩のおかげで少し救われたかな。
30年前に突然禁煙した私は現在の煙草事情に疎く、当時気に入っていたキャスターがウィンストンという名前になったことや、サムタイムが無くなっていることなど今回検索するまで知りませんでした。
1つめと2つめが「僕」で3つめが「俺」なのは何でだろう?
それにしても最近の詩人会は痛いことになってしまってますね。トノモトショウさんがコメントで何度も遠回しに指摘しているのに悪化しています。つまり他人の詩を読んでいないってことでしょうね。八ッ橋さんの寂しさを私も共有しています。
久しぶりにマルボロを吸ったら
クラクラしたので
ああ、煙に弱くなったなぁ
この前、友人が細いタバコを吸っていて、細いタバコは女の子みたいで嫌だなあって思ってたんだけど
吸いごたえもあって美味しかったです
詩と、タバコは切り離せない