うたは、はかない

                          
                        

 みんな、ちょっと、きいてくれ! うたは、とっても、じゆうなんだ。おもちゃのうた、わたがしのうた。せんそ〜のうた。うたは、
なんについてうたわなきゃいけないなんてことはない。たとえば、おとうさんについてかんがえるときは、おとうさんのうたを、うたえばいいし、おかあさんのことをおもったときは、おかあさんのうたを、うたえばいい。こうでなきゃいけないってことはない。とっても、はかないものさ。ぼくらといっしょで、いつか、くうきにきえてしまう。だから、うたはとってもたのしいけど、ほんとうは、とっても、かなしいものなんだよ。なんのために、うたがあるんだと、おもう? ぼくは、とっても、ものしりだから、おしえてあげる。それはね、うたはね。おんなのこのために、あるんだよ。おんなのこを、たのしくさせたり、なぐさめたりするために、うたはあるのさ。うただけじゃない。せんそ〜も、ぶきも、わたがしも、わたあめも、ぜんぶ、ぜんぶ、おんなのこのために、あるんだ。ほんだって、おんなのこのためにあるし、まんがだって、おんなのこのためにあるし、このよのなかにあるものは、ぜんぶ、ぜ〜んぶ、おんなのこのために、あるものなんだ! だから、おとこは、とってもくやしくて、じぶんにあるものをぜんぶ、ほうりだして、それを、おんなのこから、とりあげようとしてしまうんだ。えがおをほうりなげ、はをくいしばり、にんたいとこんじょう。あいのおせっきょう。だけど、ひとつだけ、このよに、おんなのこのために、ないものが、あるんだよ。それはね『とけい』さ。とけいだけは、このよに、おんなのこのために、ないものなんだ。おんなのこはね、じかんにとらわれない、そくばくが、だいっきらいなんだ。おんなのこはね、うたのように、もろくはかないせかいを生きている。だから、ひっしでそれを。おいかけよう、よびとめようと、おもって、おとこのこはこのよに、とけいをつくったんだよ。「じゃあ、そのとけいのうたは、だれのためにある」
「ふっふっふっ。じゃーん! まってました、そのしつもん。それはね、おんなのこのために、あるんだよ」

投稿者

茨城県

コメント

  1. ひらがなで、ポップにはじまっているんですが
    読んでいくとすごい熱量や伝えたい思いがあって、胸が詰まります

    とけいのうた、かあ
    どんなうたなのかなあ

  2. チックタックって、大きな古時計のうた。多分。

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