ハイパーリアリズム
水力発電所から煙があがっている
なんだか ナメクジ のような煙だ
ボーイスカウトたちが山へと入って行く
椎の木、モミの木、ブナの木、樫の木、
健康な樹木から、煙があがっている
素朴な疑問として山道はさびしい
ヒューストンからの中継基地として大岩がのぞいている
その表面には数種類の苔がひろがっている
歩く、わたしは、歩く、非公開の歩幅
朝の光はすでに山頂を照らし出している
真夜中に彼等は山へ入った
ポケットの中のチョコレートが匂いを残して
金属性の腕から甘い香りが残る
ほとんど、切り立った崖であり
その奥には透明の祠がある
山百合の香りがひどく刺激的である
山岳警備隊の人が昼飯を食べようとして
わたしの前で地球儀をながめている
そのとなりには、アルミニウムの柱が
高く伸びている、どこまでも伸びている
新感覚の祭りのシステムが
山全体を微動する
鹿が一頭その答えとしてあらわれて
人間の言葉で明日の天気を論評するだろう
それはわたしにとっての希望である
少しの雨で杉の木は濡れた
さまざまのシダの葉が、ありのままの真理を
伝授しようとする時
それは ナメクジ のはっていく崑崙山である
静かな夕暮れのはかない虹のように
ボーイスカウトたちが山へと入って行く
この少年たちは、帰って来ないだろう
雪が降り出してわたしは山を出ようとする
しかしそれは不可能なのだ
新しい装束が届けられた
それに着替えて、さて これから
わたしはどこへ行けばいい
ボーイスカウトたちが山へと入って行く
降り出した雪は美しい
ヒューストンの基地から
魂が打ち上げられる。
コメント
山、がとても印象的でした。他にもそれぞれがひらひらと自在に舞い。
魂が打ち上げられる、とは、花火のようでもあり、趣きがあります。
つたない作業をつづけています、それでもふとした瞬間に、宝石の光のひとしずくでも、あらわれはしないかと。