点滴マニア

ぽつぽつると滴り落ちる点
皮膚に非情なる針を刺し 
赤茶けた血を巡らせれば 
新たな自意識を獲得する 

その恍惚は絶望にも似て 
前後左右のネガポジは反転
常識を覆す鋭敏な神経が 
昼に引き攣る夜に痺れる 

何度目かの注入で気付く 
生まれたことの間違いに 
ならば目指せ終焉いざ昇天
無念や未練に手を振って 

アパシーから続く安楽死 
想像力の外側に哀しみを 
取り零したまま僕は逝く 
思わず伝う涙ひとしずく・

[TONOMOTOSHO Rebirth Project No.079: Title by kamome]

投稿者

大阪府

コメント

  1. 関係ありそでなさそな、ゴダールを思い浮かべて読んでみました。私自身のスタンスもはっきりしないまま、最終行のひとしずくを想像しました。

  2. 点滴からの連想で「てん」の字だけを浮き上がらせるという構成の妙ですな。

  3. 子どもの頃は妙に憧れた点滴。
    いざされてみると拘束感が無理ーってなります。
    ぽつぽつと“てん”があって、入れられる度に徐々に終わりに近づく感じ、鳥肌が立ちます。

  4. @たかぼ
    おわ、気づいてなかった…
    連が進むほどに「てん」が行に深く入ってきてる…トリハダ!

コメントするためには、 ログイン してください。