2°
石塊を拾っている夢
塹壕の中で
両手で
指先で
その腹で
土を掻き
かき集めた中から
少しでも大きな塊を
探し
ただ集める
眠い目をこすっている
夜明けに
目をこすっている
二時間ほど
眠り
眠っては起き
こすり続けられた
目の周りは赤く
皮が裂けている
目はとうに
なくなっている
夢と
夢じゃないところを
行ったり
来たり
頭のなかがふわふわと
右にこぼれては左にかしげ
左にこぼれては右にかしげ
まっすぐに立てないし
まっすぐに寝ることが出来ない
まっすぐに歩けない
まっすぐにしゃべれないし
まっすぐに愛し合えない
まっすぐの意味がわからない
けれど
まっすぐにこがれ
まっすぐを憎み
まっすぐに執着するのは
水平線はいつだって 二度ほど傾いているのだし
ま、すぐにどうでも良くなるのだろう
本当は誰もまっすぐになんて立てないのだから。
コメント
人間の生(…性)を、シニカルに見つめています。石塊は、生そのものです。シニカルさの中に、寂しさも垣間見えますね。四連目、五連目、それが上手く表現されている。
長谷川様、ありがとうございます。