恋文

恋文

それはまるで恋文のようだった

内側から溢れ出た

私の核を認め

輪郭をなぞってくれる

これから一冊の集大成になろうする

ポエジーの雫を

余すことなく

初めて呑んでくれた人の言葉は

忘れていたときめきを

思い起こさせ

心拍数が上がり

ドーパミンが流れるのを感じた

久しぶりの感覚に

自分の支柱は

やはりこれなのだと

歩んできた軌跡に

一枚、一枚、落としてきた

断片を拾い集める

織り込まれた

時間の厚みさえ

掴んでくれるその人に

すべてゆだねて

世に解き放つ

恋文を信じて

投稿者

埼玉県

コメント

  1. 嗚呼、なんかこの関係性は読んでいる我々読者、第三者をもたまらなくさせる憧憬があります。

  2. @あぶくもさん。コメントありがとうございます。これは昨年出した詩集『柔らかい檻』を上梓するまでに、お世話になった編集者への謝意を書いたものです。初めてゲラを読んでくださった編集者の方の感想に感激しました。

  3. 作者と編集者との関係は大事ですね。良き編集者か否かによって、本の出来上がり、完成度も微妙に変わってきます。言葉はデリケートなものだと思うのです。ゆえに、人の心を打ちます。

  4. @長谷川 忍さん。コメントありがとうございます。編集者の方は、詩集として纏まった詩群を初めて読んで頂いた読者なので、その感想は嬉しく感激でした。
    仰る通り、言葉はデリケートなので、扱うには細心の注意が必要ですね。

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