罪人

きざまれたキキョウは叫ぶだろう
首都へ向かう高速バスの中で
コブラとピエロは何について話すのか
暗いアリゾナの方へ
光の速度を計測するために走っている
モーター音は車軸の下の球体を知っている
様々の様式と形態と暗黙知を
垂直に上昇する人間エレベーター
もっと、もっとブロンズ製のはばたきを
君たちは超高温焼却炉の中心に視認する
組立式のかの国の未来の死滅碑
北極熊の憂鬱にかすむ村
そしてたなびく液体窒素
ペリカンたちはホウレンソウの種子をまく
イギリス的法治権に対する水爆的みずまくら
さまよう市民によるモスグリーン
かろやかに刈り取られた雑念のすましじる
属国とその周辺に存在する蟻たちのすさまじい決意を
バスに乗る
バスに乗りつつある
永遠にバスに乗りつつある
すべての携帯物語の最終話に戻って始まらない世界を観察しよう
わたしがまだ未来の物語世界を見ないその前に
罪人は罪を意識するその前に
罪人の未来の罪を無罪としてください
きざまれた高速道路の無神論のように
愛はそれらの上位に来臨する
愛はむしばまれた光彩に引き込まれて行く
性感論のさざなみと、この船とこの波とこの激痛と痴情する
ちりめんじゃこのしぶきが走る高速道路
うめきだす塩のしたたり
非常に安全な崖の上で両手をしばられて
突き落とすさわやかな笑顔の
念じているのは母さんのエプロンを
ふきとばしてもかまわない、嵐の予備役
潮だまりに口紅が沈みかけている
早く、佇立するあの外人たちの背後に
巨大な海藻がひとしれずに立つ
この論理的飛躍は珪藻土をななめにカットする
都市はいつものように裸体であり
回転する黒人のラッパーが愛を欲しいと歌うとき
先の細い存在するための赤い照明は、突き出る
細長くピラミッドが星空に突き刺す
やわらかなジャコメッティを綿棒で包むとき
千年先のわたしがイタリア海岸にいる
イソギンチャクの思念が
カンテラのくもりにゆれる
ポケットの奥の百円玉
もろもろの数式がイワシの大軍におそわれる
悲しいか、それとも
バスは走り去るか? 
罪人は笑う。

投稿者

岡山県

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