年下の男
あの日は鶏すき鍋と
ブリシャブを囲んで集う夜だった
お座敷テーブルの向かい側
ちょっとほろ酔うあなたの隣の座布団を
陣取ったのが、あの女
彼のグラスに
あの女のビールが注がれて
グラスへ口をつけるあなたの小鉢へ
スッと 伸ばした私の手
「もうこの辺が煮えてきたわ」
もも肉の柔らかそうな二切れと
白菜と青菜にネギ
それにエノキ
椎茸はまだ硬そう
ふと 動きを止める取り箸
彼は飲兵衛だから
これでいい
あなたは私が手渡す小鉢も
笑って受け取ってくれた
そして煮えてきたお麩を
拾い集める私の小鉢
「麩、好きなのか?」
彼に聞かれると
そんなことが嬉しくなって
何も言えず
微笑み返すだけだった
コメント
最終連を読んで微笑んでしまった。。。感情の動きが控え目に描かれていて、むしろそれがぐっときました。
@佐藤宏
佐藤様へ ご感想いただきまして嬉しかったです。どうもありがとうございました。
いくつか書きました恋の詩の中では、自分で気に入っている一作なのです。(^^;
これからも佐藤様の作品を読ませていただいて、もっと自分も感性ともに
言葉を、磨いていきたいと思います。