タランチュラ
がぶがぶと水を飲もうとして
口をあけるとタランチュラが
はいって来た
それは美味であると
恒星のひとり娘が言うので
さくらんぼの高級品をプレゼントしよう
それは攪拌されたシンポジウムである
トリスの瓶をかたむけて
夜のカーテンをひこうとすると
タランチュラが腕に乗って来た
それは美しい世界の墓場の時代である
石室は今日も公開されているだろう
古代の死は白鳥の歌であり
現代の眠り姫は土葬を拒否するらしい
それでも新しいレコードが用意されている
声は新しく、日々は音声である
蓄音機の針がもうけずれてしまって
音にならない
それは水平線のタランチュラが並んでいる
リズム正しく歩いていく
眼を開いて、こころを開いて
絶望からあいさつを楽しもう
水をくださいわたしにも
河に近づくとその声がきこえる
眼を閉じて、落下する心理を描いてみれば
アルミの合金のすべらかな心理である
君たちのかたわらに立つ五重の塔は
海の水で解体される
ざぶざぶとわたしはその中に身を与える
さすれば
点滅する銀河の蘭奢待
こうこうと鳴く鳥は
わたしです。
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