零雨の降る

零雨の降る
静かに
静かな
零雨の降る。いのちは
自らの分のいのちを生きるだけ

私の生死に関係無く
零雨の降る
その日も
静かに
静かな
零雨の降る。山の緑は
零雨に濡れて鮮やかに
鮮やかに緑は生き生きとしている

あなた
あなたは今生きている。

私は今生きている。
けれど私達の知らない場所で
零雨の降る
零雨は
誰にも気付かれずに
静かに
静かに降っている

静かさの中にじっとしていると
自分のこころが騒いでくる
私という人間は騒がしいのだ。
人やさまざまな存在を傷つけて
申しわけないと思うけれど
これは私の罪である
だからこそ出来るだけ私は
善く生きたい
零雨の降る

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コメント

  1. 私は俳句を詠みません。でも有名な夏井いつきさんが解説されるTV番組を時々見て、しばしば感心させられます。俳句と詩は違いますが、参考になることは多いです。夏井さんがよく語ることに「その言葉の中にはすでにその意味が込められているのでそれを説明する必要はない」というようなものがあります。俳句という限られた文字数の中では重要なことですね。詩では基本的にはそのような文字数の制限がないので俳句ほど気になるものではないし、強調するためにあえて言葉の意味を説明する場合もあると思います。この詩の中では鍵となる「零雨」がそれに当たります。「零雨」の意味を引くと「静かに降る雨」とあります。この詩の中には零雨が8回、静かが7回出てきます。もちろんこしごえさんは意図的に繰り返して強調されているのでしょう。その辺が好みの分かれるところかと思います。私の勝手な意見ですので、お気になさらないでください。先日同じようなコメントを足立らどみさんの詩にも書いたところで、私の気分として少しブームなのかもしれません。

  2. @たかぼ
    たかぼさん コメントありがとうございます。
    そう、たかぼさんのおっしゃる通りですね。その言葉には、その言葉の意味が含まれている。それをあえてこの詩では説明している。
    零雨=静かに降る雨(これは広辞苑にも載っていることです)。この詩では、文脈的にもあえて 静かに などと説明しています。そして、これは「私という人間は騒がしいのだ」というところを強調する意味もある。
    たかぼさんが、あえてそれらを取り上げてくれたことをありがたく思います。ありがとうさま。♪^-^)

  3. リズミカルで静謐。人生を振り返りつつ生と死を思う。そしてすべて雨に包まれてゆく。言葉遣いは平易ながらも含むところは底知れない。言葉の繰り返しで作品が単調になるか生き生きとしてくるかは作者の腕の見せ所だと思いますが、この作品では成功しています。味わい深い詩だと思います。最後に白状しますと「零雨」なる語は知らなかったしいまだ読めません…… ちゃんと調べようっ!

  4. @佐藤宏
    佐藤さん コメントありがとうございます。
    ああ!佐藤さんがこの詩をすてきに読んでくれたのが感想から伝わってきます。ありがとうさま。☆^-^)
    まあ、私の詩作方法は、こころに浮かんできたものを流れで書いていくというね。まあ、一概には言えませんが。
    うむ、まあ、繰り返しはヘタするとうるさくなったりするものですが、佐藤さんがそう言ってくれて ありがたいです。ああ、佐藤さんが味わい深い詩と言ってくれて嬉しい。
    うん、零雨は、れいう と読みます。意味は、(広辞苑によると)「静かに降る雨。小雨。微雨」とのこと。雨にもいろいろとありますね。雨のことに限らず、私は知らないことだらけです。^^;ふふ。
    でも、白状してくれて、正直者ですね♪^-^)

  5. リフレインが効いていますね。
    「静かさの中にじっとしていると
    自分のこころが騒いでくる」
    というところ、なんかわかる気がします。こしごえさんの詩はテーマに軸があって、そのテーマを様々な書き口で表現されているように思います。テーマも書き口もあえてとっ散らかったまま放置する私の場合と違っていてだからこそのリスペクトがあります。

  6. @あぶくも
    あぶくもさん コメントありがとうございます。
    ああ、あぶくもさんが リフレインが効いている と言ってくれて ほっとしてありがたいです。
    うん、静かな時にじっとしてると何だか心が騒いでくるのを私は実感します。これとはちょっと違うけど、お坊さんのお話で(うろ覚えなんだけど)ある人とある人が居て「旗が動いている」という人と、そうではなくて「風が動いている」という人がそのことで言い争いをしていたら、そこに通り掛かったお坊さんが「旗が動いたり風が動いたりしてるのではない。あなた達の心が動いているのだ」というね。私もそうで、私の心が騒がしく動いちゃうんですよね実際。^^;ふふ

    ああ、そうですかあ。はい。しかし、そうですねぇ、テーマに軸を持たせるというのは、作者としてはあまり意識してないかもしれません。あぶくもさんに そう言われて初めて ああそうなんだ と思いました。気付かせてくれて ありがとうございます。
    私は忘れっぽいので、ずっと前にはどうして書いていたかあまり覚えてないんだけど、たぶん詩作方法にそんなに変化は無い方で、思い浮かんだある(一つの言葉から数行の)言葉をキッカケにしてそこから連鎖的に思い浮かんだことなどを流れに沿って書いていく、というね。まあ、詩作方法も一概には言えませんが。
    まあちょっと的外れなことを言うかもしれませんが、基本的には、生と死がテーマなのかも。今までに何回も言ってきたことだけど、「詩とは、私にとって、死を含んでいる生(せい)だ」というですね。
    テーマも書き口もあえてとっ散らかったまま放置する あぶくもさんは こころが自由なのだと思います♪^-^)その上で、あぶくもさんがリスペクトしてくれて嬉しくありがたいです。ありがとうさま☆☆☆

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