花ゆえに―
空気はバリバリと裂けて
この激しい陽光に
くぐもったような音素を与え
それが即ち毎日の栄養になる
まず空間自体が飛翔して
あの澄んだ大空になるのだ
男は誰しも空間になりたがり
女性は空気になりたがるものだ
花が咲いている 虚ろな
花弁はそれ自体で美である
庇われ そして生育し
空へとその美を主張してゆく
今咲かねば時はない―といった
緊急事態として咲いてゆく
そして<何故>は全くないのだ
自然のめくるめく開示として―
或いは 予兆であるかも知れぬ
明日を夢見ることを 静かに
諭しているのかも知れない
時は今 そして時刻は明日 として―
微笑みが 表情に表れる前に
身の裡で蠢く喜びの声―
それは空気への感謝の言葉
言葉として花は花咲く
ピョンと跳ねる小さな虫が
小ささ故に持っている生命―
それらは宇宙より遣わされた者たち―
生を希望として整える者たち―
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