いつかの恋人

 
 方向音痴だから
 あれが東梅田の何処かということしか
 分からない
 繁華街の交差点で信号待ちの宵どきだった

 隣に立つあなたに
 小声で言ったような気がする
 「だれもいなかったらキスできるのにね。」

 うつ病になり社会復帰出来ないでいた
 引きこもり凍える冬に
 外へ行かないか
 と、誘ってくれたあなた
 パジャマを脱げないでいると
 セーターとコートを羽織れば分からないよ
 そう言って 連れ出してくれた

 ミノムシみたいにパジャマ着る
 私のこころは
 ちょっと蓑から顔出して
 あなたと吹かれた さぶい風

投稿者

滋賀県

コメント

  1. 三連目、情景が浮かんで胸がひとつ鳴りました。
    セーターとコートと彼のこころ。
    素敵なお洋服たちです。

  2. @たちばなまこと 様へ

    お読みくださって、ご感想のコメントをどうもありがとうございました。
    優しいお言葉を戴きまして、たいへん嬉しく思いました。
    今後もどうぞよろしくお願い致します。

  3. 確かに、俺も3連目で急にイメージが湧きました
    暖かい、少しだけほろ苦い日々

  4. @那津na2 様へ

    お読みくださって、ご感想のコメントをどうもありがとう
    ございました!
    お言葉とてもありがたく、うれしかったです。(*^^*)

  5. さぶい風だけれども、ぬくい風でもあったのかな、…などと想像してみました。映像が浮かんできます。ちいさな映画を観ているみたい。

  6. @長谷川 忍 様へ

     お読みくださいましたご感想で、そのように
    おっしゃっていただけて、とても嬉しいです。
     思い出を素直な気持ちで描いてみて良かったと、
    感じることが出来ます。
     どうもありがとうございました!(o^^o)

コメントするためには、 ログイン してください。