映写機
空が少しずつ
濃さを増していく。
時間の狭間で
小刻みに震える一瞬がある
その一瞬に隠れながら
自らを脱ぐ。
見えないものがあっていい
聴こえない聲にじっと耳を澄ます
空が高いと誰が決めたのか
この世が、この世であることも。
たくさんの残像が
秋の終わり
そのものになる。
濃くなってから
いつも気づくのだ。
小さな映写機の向こうで
街も人もかたかた動いている
私も残像に重なろう。
観客は
どこにもいない。
空が少しずつ
濃さを増していく。
時間の狭間で
小刻みに震える一瞬がある
その一瞬に隠れながら
自らを脱ぐ。
見えないものがあっていい
聴こえない聲にじっと耳を澄ます
空が高いと誰が決めたのか
この世が、この世であることも。
たくさんの残像が
秋の終わり
そのものになる。
濃くなってから
いつも気づくのだ。
小さな映写機の向こうで
街も人もかたかた動いている
私も残像に重なろう。
観客は
どこにもいない。
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コメント
逢魔時の不思議な匂いがしました
この街に溶け込みたいです。
nonyaさん
この日は、空が蒼いまま暮れていきました。不思議な残像でした。
たちばなさん
寂しい、水の風景が好きなんですね。気がつくとそんな場所を歩いています。
3連の深い領域と、自分が風景の一部になるような6連が、とくに印象に残ります。
服部さん
自分を脱いだ時に、見えてくるものがあるかもしれません。風景の一部になることは、昔から憧れでした。
静謐で暗室のような光景から徐々にカタカタと時間が動き出す、映写機の音が聴こえ。「自らを脱ぐ」という実存と残像、ヒトの認知は、いつも過去で、過去の中で生きている、そんな気がしました。
timoleonさん
寂しさと記憶を脱いだ時に湧き上がってくるものを、映写機の光景で見つめる。それがこの詩の起点となりました。背景にあるのは、色のないノスタルジーかもしれません。