1829
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次の[ ]を記入して、あなたなりの年表を完成させなさい。
1812[チャイコフスキー]
1829[ ]
1919[坂本龍一]
1922[スティーブン・キング]
1963[ニューオーダー]
1979[スマッシング・パンプキンズ]
1984[ジョージ・オーウェル]
1Q84[村上春樹]
1985[マニック・ストリート・プリーチャーズ]
1996[坂本龍一]
1999[プリンス]
2046[王家衛]
2889[ジュール・ヴェルヌ]
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「おまえさ、この問題解ける?」
「いや、これさ、出題意図は何となくわかるんだけど、正解は全然わかんねーわ」
「チャイコフスキーの次って、なかなかクラシックな年代だよな?」
「日本だと江戸だぜ、ちょっとググってみたけど、文政12年だな」
「ああ、なるほどな。えーなになに。それなら答えは『友吉』だな、きっと。」
「だれだよ、それ」
「神田にあった材木屋の伊兵衛店だよ」
「材木屋がどしたの?」
「文政の大火って知らない?」
「知らねーわ」
「江戸が燃えた大火事の火元が伊兵衛店って材木屋の友吉が吸った煙草の不始末だったらしいよ」
「っておまえも今それググった内容そのまま読んでるだけじゃん」
「ぐはっ、バレたか〜、物知り気取ってみたんだが」
「佐久間町は悪魔町だってよ」
「今も昔も人間ってのはひどい生き物だな」
「でもChatGpt師匠にかかれば、『そういう一説もあるけど、諸説あって詳細は不明な点が多いです』って、超冷静で誰も傷つけない答えが返ってくるんだね、AI風情が空気読んでてある意味ウケるわ」
「それはそうと答えは『アンドリュー・ジャクソン』って可能性もあるな」
「アメリカ合衆国第七代大統領な、おまえまたググったろ?」
「オールド・ヒッコリーっしょ?」
「頑丈なカタブツか」
「もうおれらのこの薄っぺらいwikiトーク合戦、不毛じゃね?」
「たしかにww」
「wwっておまえ、ちゃんと笑えよ」
「でもそれもこれも結局は作品タイトルとかじゃないじゃんね、これじゃあ答えになってないよな」
「うーん、むむう」
「あ!おれわかっちゃったかも!」
「え、なになに?とうとうひらめいたか?wiki?ChatGpt?自前の脳味噌か?」
「これさ、ひょっとして、答えは『日本WEB詩人会』なんじゃない?」
「どゆこと?」
「いや2023年のゴールデンウィークにさ、詩人たちが企画で『1829』ってタイトルの作品を書きまくるわけじゃん」
「ああ、なるほどね」
「何人もの詩人の名前が答えになって、他のタイトルのすげー作品群に名を連ねるわけだ」
「答えになれる詩投稿しとこうか」
「おまえ詩人だったっけ?」
「この際そんなことはどうでもいいんだよ。詩人は自分で詩人ですって言えば詩人だし、書いたものを詩ですって言えば詩なんだよ」
「不遜にもある意味正解」
「しかし、だとしたらこの問題考えたやつ天才じゃね?」
「『あぶくも』だってよ、なんか意味わかんねーダセェ名前だし、問題出しときながら問題のタイトルが『1829』ってもうさらに意味わかんねーな、ウケるわー」
「マトリョーシカかよ」
「wwで草」
「いや、だからちゃんと笑え」
「そだな、答えは自分がつくるってことか」
「そうそう」
「If you are the question, ・・・」
「I will be the answer.」
「だね」
「だな」
「やるか」
「やろう」
コメント
答えが詩人会ってオチ最高です。
この詩は、私には難しい詩ではありますが、これらの会話の流れにリズムを感じます。そのリズムが詩としての強度になっている、と感じます♪
『1919』大好きなんですよ。お風呂にBluetoothスピーカー持ち込んで聴いたりしています。
自分の頭の中でもwiliの会話一通りやりました。
最後詩人会やご自身のハンドルネームに被せてゆくところ、感嘆しました!
1829って意味不明な数字だなあと思いながら参加しましたが、確かに4ケタ数字の作品の多さを考えると、面白い着眼点ですね。この詩のおかげで1829に大きな意味が与えられたように思います。
@たかぼ
さん、ありがとうございます。
書きながらどこへ行くんだろうかと思っていたらこの企画発案者の姿がチラつき始めてなるほどそういうことなのかと勝手に自分を納得させたような形になりました。
@こしごえ
さん、ありがとうございます。
ヘンテコな問題が提示され、それをどう解こうか思案する若者ふたりのテンポの良い会話が、次第に更に変なことになっていきましたね。「私には難しい」と感じながらもコメント頂けるのはとても自分にとって貴重なことです。感謝感謝。
@たちばなまこと
さん、ありがとうございます。
1919、良いですよね、私は1996のアルバムで1919を聴いています。しかし、あの焦燥感というかドキドキ感はお風呂では交感神経昂ぶりそうで無理だなー(^^)
そうそうwikiトーク面白かったです。また蠍の時みたいにB面も考えたいなー。
@トノモトショウ
さん、ありがとうございます。
企画で戻って来てくれるとは感激しました。1829てどれもパッとしねえなと思いながら途中でハッとしまして。そか、1829はおれらが今作ってんのか、と。企画発案者および投稿されるぽえ会有志たちへのリスペクトみたいなものを込めることができたかなぁ。
問題、解いてみようと頑張ったのですが、解けませんでした。…むむ。「1ℚ84」は、BOOK2まで読んでくじけました。BOOK3は、まだ読んでいません。坂本龍一の1919は、何だろう…?
会話の部分、上手いですね。爆笑しつつ、読みました。ユーモアの中に含蓄があって、愉しみました。こういう会話、私も書いてみたい。会話調の文体、好きです。私もよく書きます。
コメント失礼いたします。
脳内会議をしているイメージが浮かびました。末から現実世界へとリンクしていくのだろうか、と想像が色々浮かびます。
@Yatuka
さん、ありがとうございます。
根が素直なもので(笑)一周回って年号で行きましたが、年号ながら内容は誰かと被ることないだろうとタカを括り。
唐突に問題、唐突に会話で、背景を知りたい、答えを出してみたい気持ちになってもらえたなら本望です。
@長谷川 忍
さん、ありがとうございます。
ハルキストの方にこの告白は怒られそうですが、『1Q84』、私は6冊全部積読です。
「ユーモアの中に含蓄」だなんて、この言葉だけで、泡盛三杯頂きます!
@ぺけねこ
さん、ありがとうございます。
そうそう、ある意味でキャラ2人(似たもの同士)になった脳内会議ですね。ぽえ会のこの企画に取り組む詩人たちになぞらえて、何だかよくわからない人生のお題に思い悩みながらも「やる」一択にしてしまう青春メンタリティみたいなものを詩にしてみました。