1829
ずっと階段を上り続けている。
いや、上っていたつもりが
いつの間にか傾斜が変わり
ふと気づくと、下っていた。
どこが折り返し地点だったのだろう?
一つ一つ、階段を踏みしめながら
上ってきた筈なのに。
どこかで一段飛ばしたらしい。
空白の一段まで戻らないと
悔いが残り
それこそ、下り坂を転げ落ちるように
終焉を迎えてしまう。
やり直せるなら、戻りたい。
踏み外したのは
何段目だったのだろう?
目を閉じゆっくり記憶を辿ると
思い当たるのは1800段以降だ。
1801?1802?1803?……
*
数字の暗号を求めて
螺旋階段と化した
人生のラビリンスは続く…。
コメント
人生は、まさに螺旋階段ですね。まわりつつ、下っていくのか、上がっていくのかは、その人次第。1801?1802?1803? 1829の手前を微妙に表現しています。階段の一段飛ばし、というのはよくわかります。…空白の一段。
@長谷川 忍 さん。
コメントありがとうございます。
ずいぶん長い間、人生の螺旋階段を上り下りしてきたような気がします。
お題が難しかったのですが、1829に至る表現をわかってくださり、安堵しました。
空白の一段に共感してくださり、嬉しいです。
おお、階段ですか!
長谷川さんも触れていらっしゃいますが、1829に近づく少し手前を表現されて、余韻が残っていること、読者の想像を膨らませていることが素晴らしいなと思います。
@たちばなまこと
たちまこさん、コメントありがとうございます。
お題と繋がるかな…?と、心配だったのですが、余韻が残り想像が膨らませていると言ってくださり、ホッとしました。
あえて1829が文中に出てこないのが粋ですね。一度踏み外してしまうと下るばかりで、ふと気付いたら上ってるっていう逆のパターンがない人生の本質みたいなものを想像して、ある種の恐怖を感じてしまいました。
@トノモトショウ
トノモトショウさん、コメントありがとうございます。
タイトルを答えにしたので、「1829」は敢えて控えました。
粋と言ってくださり、嬉しいです。
一度踏み外すと戻れないと考えると、怖いですね。そうならないよう、再起の暗号を探すのもまた人生かなと。。
どこか、村上春樹っぽい視点を感じました。
よかったです。
@あまね/saku
あまねさん、コメントありがとうございます。
村上春樹のファンなので、そう言っていただけると嬉しいです。
人生は騙し絵みたいなものなんだろうか。一歩一歩と歩を進めているが、上っていたつもりがいつしか下っていたり。この味わい深い階段の詩に、そんなことを思いました。どうせならくねくねしながら、進んでるけど意思と無関係に上り下りしたり裏返ったり途中ジャンプしてみたりしながら浮遊してみたい。
階段の段数を描いているようで、人生模様を描いているのですね。
作者のその視点の鋭さがすばらしいです。
いつのまにか
降っているのか登っているのか
確かに人生のようです
その迷宮から出る謎の数字1829
@あぶくも
あぶくもさん、コメントありがとうございます。
拙作を味わい深いと言ってくださり、嬉しいです。
人生は着実に階段を上がっているつもりでも、想定外のジャンプや下り等のサプライズはつきものですよね。。
@こしごえ
こしごえさん、コメントありがとうございます。
まさに人生と階段を重ねて表してみました。読み取ってくださり、また視点まで言及して頂き、感謝です。
@那津na2
那津さん、コメントありがとうございます。
人生、上りか下りか、出口の鍵は1829!ですね。