1829
桜の木が低くうなっている
花びらは絶え間なく降る
そういえば
去年の春もこうだった
桜の木の下で花見と思っていたけれど
花びら弁当になってしまいそう
風に揺れて落ちる花びら
蜂に揺すられて落ちる花びら
理由もなく自然に落ちてくる花びら
1829枚
数えられるかなと思って
29枚も数えないうちに飽きて止めた
そして
こういうのは数えないのがいいのよ
と 言い訳する
桜の花の色は桜色
伝わらなくて それでいい
花びらも花に群がる蜂も
花の終わりに萌え出てきた葉の数も
それを眺めている時間も
数えないのが 今はいい
花びらが降りかかる
地面を埋め尽くすように
わたしを埋め尽くす
コメント
1829には無限のテーマが潜む可能性があることを知り、同時に数なんて本当はどうでもよくて、その場その場で感じた情景さえ表れていればいいことに気付かされました。春の終わりにぴったりの詩です。
東京は新緑の季節ですが、北海道は、今が桜の盛りでしょうか。これから良い季節ですね。1829を絡ませつつ、桜を楽しまれる作者の心情が伝わってきました。
昨年でしたが、桜の下でお弁当を食べていたら、桜が散って、花びら弁当になったことをふと思い出しました。
数えようとしてあっさりきっぱり諦めるところが良いですね。数は誰からも客観的に物事の一側面を明らかにするけれど、知りたいこと、感じたいことや伝えたいことは数じゃないんだよと。
数えないのが 今はいい
花びらが降りかかる
地面を埋め尽くすように
わたしを埋め尽くす
この詩のここに、この詩が集約されているような気がします。そして、この詩のここの着地が心地好いです。
私は苫小牧出身でして、北海道はヤエザクラかエゾヤマザクラが多い記憶です。
連休が見頃ですよね。
北野さんの詩から、少し濃い色の花びらが幾千枚と舞い散る様子を思い浮かべました。美しい詩です。
@トノモトショウ さま
コメントありがとうございます。数が大切な時期もありましたが、私はそれを過ぎちゃったらしいです。年ですかね。でも1829って、ちょっと中途半端で意味ありげな数字なのでもう少し正面から取り組んでも良かったかなとも思います。
@長谷川 忍さま
コメントありがとうございます。北海道は花と新緑が一度に訪れていますね。加速度がすごいです。桜ほど散るのが美しい樹木はないように思います。花びら弁当いいですね。今年は手抜きのコンビニサンドで花見しました。
@あぶくもさま
コメントありがとうございます。最近、数を数えるのが面倒で、自分の年齢もあやふやになります。数えているのが時間なので、数えたくないって心理もあるかもしれませんね、読み返してみると・・・。
@こしごえ さま
ラスト、気に入っていただけてうれしいです。昨日は降るように散っていた花びらですが、今日は残りが少ないです。どうして一度に散ってしまうのでしょうね、もったいない。でも、一度に散るから美しいのでしょうね。
@たちばなまことさま
苫小牧、うちから近いです。ちなみに、詩のなかの桜はエゾヤマザクラですから、たちばなさんが思い浮かべる情景とほぼ同じかと思います。美しいといっていただけて、桜も喜んでいるかもです。
げんかつぎのような花びら、花びら。
お花見でお猪口で日本酒呑んでいて。
花びら入ってきたら最高だなと思う。
たくさんの花びら花びらありがとう。
@足立らどみ さま
なるほど、げんかつぎ!お猪口に花びら、風情があって良いですね。来年はやってみます。
素敵です
こういうのは数えない方がいいのよ
確かに、そうですね
ありがとうございます
@那津na2 さま
返信遅くなりました。コメントありがとうございます。数えないというのもありかなと思って。きちんと数えたほうがいいことも世の中にはあるかと思います。