モノクロフラワー
まどろみという名の花が咲いた
その陳腐な香りから逃げるように
コルクの腐ったボトルを手に取って
味のないそれを少しずつ注ぐ
そのグラスに枯れた薔薇を飾ってみた
絵の具のように次第に溶けていく
黒は白になり、白は黒になる
やがてそれらは一つに混ざり合う
モノクロームの海
輝きはいずれ消えゆく
モノクロームの海
光のように花は散った
モノクロームの海
星屑とはあまねく残滓
モノクロームの海
大波は月明かりを攫う
強烈な吐き気と頭痛とを伴って
まどろみという名の花が枯れた
つまらない、と一言だけ零して
私は冷蔵庫の安酒を手に取った
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