少年のまなざし
いつしか
朽ち果てはしない詩のように、
まだ幼い兄弟が産まれて間もないのでした。
屈託ないわがままな声々としても、
家族の想いに温もりだけがありました。
*
ようやく弾んだ音は、
徐々に集まって群れになる言葉として
つれづれになりながら、
小さい部屋のなかをひしめいていました。
ひっこしという言葉を
知らずにいた僕たちには、
引越しをする日を知るときが訪れました。
未だに少年を知らない母へ
ひっこしとは何かを尋ねました。
*
思い出せる記憶は、
その場所に立ち込める大地の匂い。
永遠の別れという名前をした戸惑い。
陽射しが巡る伝説という意味の在りし日々。
僕たちの家族は
明るみに出る道をゆきながら
歩み続けることでしか
わからない未来。
*
いずれ引越し先に
詩として旅立つ言葉には、
まるで運命をもとめた家族のように
いつも再会をのぞむのかも知れない。
やがてこれらには気持ちでふれられるほど
軽やかな詩集になるのかも知れない。
*
少年のまなざしに映る
孤独かもしれない静電気の詩集からは、
音楽でさえできあがる。
そのときを刻みこむ恋を伝えながら
僕たちは包みこむ愛を導くだろう。
キャッシュを支払えれば、
オーダーメイドの詩集だって
手にできるのかも知れない。
*
そっと想いは届けられるけれども、
おのれがままの詩集によって、
詩々は選びながら編まれるだけだろう。
きっと世界にたったひとつの詩集だって、
その親しみとして許されるだろう。
もはや清濁を合わせて呑み込みながら、
大河を流れる一滴の水みたいにして。
*
少年のまなざしで
たどる言葉としても、
ずいぶんと静かな祭りのような
詩集があるでしょう。
いつしか家族が住まいを探して
大切な想いを運ぶ
切ない祈りがやはりあるのです。
*
すでに駆けがえもない
その時空の佇まいに、
遥かな旅の途中で花々を見つけますように。
むしろ託されはしない
その豊穣の大地に、
吹きすさぶ風から宿命を授かりますように。
よもや寄り添うだけでしかない
その微かな願いに、
兄弟の誓いを捧げられますように。
コメント
流れていく大きな願いのような寄り添う小さな祈りのような言葉でした。
さて、いつものシンクで、病院の検査備品を洗浄して、その後を追うように、timoleonさんのコメントをみています。流れる気持ちが届いたように思いました。ありがとう!
大河を流れる一滴の水
ここまで読んで、痺れました
器とそこに流れる詩感と
優しさと、インテリジェンスを受け取りました
サイトを立ち上げてよかった
と、感謝を覚えます
刹津na2さん。皆さん。
ささやかな想いを汲み取っていただいて、
とてもうれしいです。
とても素敵なサイトとお見受けしています。
コメントをくださって、
とてもありがとうございます。
サイトは運営等は気持ちひとつだけでも、
大仕事でしょう。
詩作品のテキストを相手にするよりも、
サイトの個々にある機能を相手にされている
ところも多いと思います。
機能設計ですと設計図面を
エクセルなどでも日本語のみで起こせます。
詩書きの夢を描く設計図面
があるはずと思いながら、
お伝えしてみたりしています。
この場合では設計図面も詩作品だろうと、
とても崇高な気持ちを覚えます。
プロトタイプは素晴らしいセンスと思います。
末広がりの立ち上がりを祈っております。
どこか懐かしい語りで、詩への思いが伝わります。
優しい視点を感じます
服部剛さん
少年の気持ちは大事なことと思いました。ありがとう!
*
あまねさん
優しい共感をありがとう!
ああ、なんだか、しみじみと「素敵だなあ…」と声に出しました。
たちばなまことさん
そのひとことが励みになると
思いとてもうれしいです。