藁
あなたの寝顔と、ぼくの寝顔は違う。
あなたの眠る姿なんて見たくはないし、
ぼくもそんな姿は見せたくない。
だけれどあなたがもしぼくの恋人だとして、
誰かに眺められながら、
夜風にさらされて意識を失ってしまったら、
ぼくはあなたを許せるだろうか。
ぼくはぼくを許せるだろうか。
消えない、あなたの呼吸音と、
消せない、ぼくの呼吸音。
関係性に呑まれるあなたとぼくの心音は、
現代では生きた心地がしない、藁に殺されてしまう。
誰も助けてくれなくて、
あなたとぼくがいのちを分かち合っているというのに、
きみは、笑ってしまうのか。
気まずくはにかんでしまうのか。
大嫌いだ、きみも、あなたも、
ひとりで生きることが、こんなにも難しいとわかる夜。
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